ロシアのサンクトペテルブルグに行ったことがあります。
西の端、モスクワより北西方向、フィンランド寄りにあります。
ジュエリーの専門学校に行っている時の、海外研修旅行でした。
当時、研修担当の先生が、ビザを取るのにすごく苦労したとおっしゃていいたのを、良く思い出します。
もちろん、エルミタージュ美術館にも行きました。というより、ロシアではそれがほぼメインの目的でした。
見たことがないような装飾っぷりで、豪華絢爛とはこのことか、と思いました。
確か、日本とか、アジアの展示エリアもあったのですが、当時の私は見ても仕方ないし、と思ったんですよね。
今思えば、見ておけばよかったのに!と思います。
どうやったらこんなに装飾できるんだろう、と言うぐらい、隙間なく華やかに装飾されてました。
でも、確かに細かく綺麗に装飾されているんですが、私は、日本のものの方が細かく綺麗に作られてるなあ、と、意外にも自分の国のすごさに驚かされたのが印象的でした。
当時、私は、ジュエリーを作るなら、日本ではダメだ、やっぱり本場のヨーロッパに行かないと、と思っていたんです。
ロシアのサンクトペテルブルグは、やはり最高の富がものすごく集中された場所で、日本よりはずっとずっと、ジュエリーの文化が深く根ざしている文化です。
本当に素晴らしい美術品が沢山ありました。
だから余計に、ものすごくそこ、私が見てきた日本の精緻な技術に驚いたんですね。
それはそのあと、色々な国の一流のジュエリーを見ても、その思いが強くなるだけで、変わらなかったんです。
もちろん、ジュエリーの立体感覚は、日本のものはやっぱりちょっと違うなあ、と思うことが多いです。
日本のジュエリーは美しいけれど、全体として平面的だったり、シャープすぎる、と、ジュエリーに関しては個人的には感じることがとても多いです。
どうぞ誤解しないでくださいね、美術品・芸術品、職人技としては、世界超一流を誇る完成度だと思っています。
本当に心の底から誇りに思っています。
刀剣や日本建築やそれに使われる装飾、かんざし、根付、などなどは、もう世界の一流の技術や芸術品の中でも超一流で、もちろん異論はないです。
でも、ジュエリーとか、彫刻なんかの立体になると、発祥がもともと全く違う文化だからなのか、やっぱり日本のものはちょっと違う、と個人的に感じているんです。
仏像は素晴らしいのにね(笑)
とはいえ、繰り返しになるんですが、精緻な作りという点では、海外の一流品と同じはあっても、負けることはないな、と、感覚的にですが、このロシアに行った時に、ものすごく強く感じました。
海外の素晴らしいジュエリーや立体的な美術作品の良さは、やはり、日本人の私から見ると、立体感覚そのものです。
日本人には絶対にない、立体の美しさを良く知っているな、としみじみ思い知らされます。
どこから見ても、カーブが美しいんです。ダイナミックな曲面の使い方が上手い、表現力が素晴らしいと言えばいいのでしょうか。
エッジの加減も、「そこにその形でエッジがきている」のも、「そこにそのフォルムで曲線が来ている」のも、絶妙で美しいな、と思います。
そういう感じの立体なんですよね。
日本には、そういう立体は、びっくりするぐらい少ないです。
強いて言えば、やはりドイツあたりが近いなと思いますが、やっぱりちょっと日本は違う。
代わりに、日本の立体には、直線の美しさと奥ゆきはありますが。
日本人は、良く言えば、想像力が豊か過ぎて、三次元での立体の追及を飛越してしまったのでしょうか。
空間をたっぷり使うほど広くなかった、人の身体が大きくなかったというのもあるとは思いますが。
日本人が、この繊細な感覚のまま、ヨーロッパの立体感覚を持ち合わせたら、究極の立体を忠実に形にして、新しい分野や領域が現れるのではと思います。
でも、そこまでいかないのが、いいところなのかもしれません。
随分話がずれました。
こんな話題を書いたのは、たまたま、こんな記事を拝見したからです。
日本とは、大きく趣向が違う、16世紀からの芸術品です。
ツメの精緻さ、で言えば、やっぱり日本がすごいと思うんですが(笑)
とはいえ、やはりやはり、素晴らしいです。当たり前です(笑)
建築とか、大きなものだと、そういうのは全然感じないのですが。
ジュエリーとか、ものすごく細かいものになると、細部を見た時に、違いを感じるんですよね。
細部が全体に与える印象が、違うように感じるんです。
私が、無駄に視力が良くて、細かいところまで見えるからなのかもしれません。
ロシアに、また行ってみたいです。
当時の写真が見つからず、写真素材お借りしました。また行きたい気持ちが募ります。