ジュエリーの作りを見極める

一度これが判ったら、品質を見る目が飛躍的に上がってしまうポイント

一度判ったら、品質を見る目が飛躍的に上がってしまう-平面や曲面で判るジュエリーの作り

寸法だけでは表せないけれど、寸法の単位には確実に現れる、品質

細かい所にジュエリーの作りの良さが出る、と私は考えています。

細かいって、実際どの位のことを言うと思いますか?

例えば、皆様がご存じ、カラットという、宝石の重さの単位、あれは1カラット0.2gですね。

このありですでに、なんだか細かそうだな、と感じるんじゃないでしょうか。

私が考える細かさというのは、重さだけではなく、形に関わるすべて、例えば全ての面の角度、太さ、幅、厚み、バランスのことなんです。

究極的な話、理想論ではあるのですが、ジュエリーを見る、作る時は、その位の感覚がベースになるんです。

ジュエリーで使う単位

実際どの位の単位をベースにジュエリーを作るか?

ただ、単位は確実に0.01~0.05mm、そうとうざっくりで、最大0.2mm位なんです。

0.2mmは、髪の毛いっぽんの太さだと言われているそうですよ。

光を強く反射して、立体感が強調される貴金属(金属)なので、精緻な作りというと、これぐらいの感覚にはなってしまうんですね。

0.2mmだと、ハイジュエリーだとありえない雑さって言う位の感じになってしまいます。

こういう、寸法が関係してくるところで、特に、大きく差がでるのが、面です。

幅とか太さは、まだ判りやすいですが、面というのはけっこう気を使うところです。

面は、作る人の感性や、身に付ける人の好みの差が、一番でるところのひとつじゃないかと私は考えているんです。

まっすぐ平らな面とわずかにカーブした遠目には平らな面

寸法の話で面(めん)?と疑問に思われるかもしれませんよね。

例えば、まっすぐな面の例を話しましょう。

・びしっとまっ平な面

・ゆるくゆるく、中央から角に向かって面がわずかなカーブを描く、遠目には平らな面

・遠目には平らだけど、表面がうっすら波打っている面

などなど、ざっくり考えても、これぐらいあります。

特に、わずかに面がカーブしたものの場合、カーブの曲りが強くなれば、平面ではなくて、曲面になっていきますよね。

これはジュエリー全体の雰囲気が大きく変わっていく大事な部分です。

つまり、面に対して、高さはあるか、どの位の変化でどの位差があるか?

という寸法の話ともいえちゃうわけです。

いいジュエリーほど、面(めん)に気を使っています

なぜそんなに気を使うのか、その理由

ジュエリーというのは、単なるファッション的なアクセサリー・装飾品ではなくて、身に付ける芸術品ですから、どういう意図で作られたのかが、とても大切です。

その考え方が、作りやデザイン、品質、最終的に寸法にでてきてしまうものじゃないかと、私個人は考えています。

明確な意図にそって考えられ、感性をしっかり研ぎ澄ませて作られたものは、やっぱり強い魅力が宿りますし、人の眼を惹きつけます。

詳しくなくても、全く知識がない方に対しても、心を掴み、強く訴える力をもつ1点になります。

そこまで考えられて作られるとは思わない方も多いようですが、それは違うんです。

ジュエリーには、身に付ける人の価値観や考え方、人柄を強く語る力がありますから、それを理解して作らないといけない、と思うのです。

品質のいいジュエリーで面(めん)に気を使っていないものはありえません

そういう考え方やジュエリーに対する理解と、品質を表現するのが、寸法であり、特に、「面」なんです。表れてくるんですね。

フォルムや全体の雰囲気なども、大きくジュエリーの魅力や個性を変えますが、いいものほど間違いなく「面」にとても気を使ってあるんですよ。

技術があれば、細部に気を配れますが、技術と感性がないと、面は操れません。

全体の雰囲気や、品質を左右してしまう、影響力があるのが、面の力なんです。

だから、面、平面や曲面の感じを注意して見ていると、いい作り、いいジュエリーなのかが見分けられる眼が、飛躍的に育ってしまいます。

素晴らしい逸品は、間違いなくそれにふさわしく、全体の雰囲気に合った、本当に美しい、うっとりするような「面」を持っていますよ。

ぜひ、どんな面をしているかな、とジュエリーを改めて眺めてみてくださいね。

(吉崎)

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