ダイヤモンド 石の選び方

選ぶのではなく、出会うダイヤモンド

ジュエリーの会社に入って製作を始めた頃、宝石には全く興味がありませんでした。

会社に入る前も、5年間ジュエリーの世界にいましたが、ずっと、本当に、1ミリたりとも興味がなかったんです。

貴金属でいかに美しい形を作れるか、ということにしか、意識が向かなかったんですね。

会社に入ってから、仕事で毎日、たくさんのダイヤモンドを見て、石留めするようになってからも、はじめはあまり変わりませんでした。

ダイヤって石留めがしやすい、素晴らしい石だな!ぐらいにしか思っていませんでした。

ひどいですよね。

でもこれが本心でした。

毎日毎日、石留めするときに、ルーペでいろいろな角度からみているうちに、気づくと、綺麗だな、と思うようになっていました。

虹を見た時のように自然な感じで、キレイだな、って思うようになっていました。

やっぱり、輝きが強いから、小さくても存在感があるんですよね。

凄烈な凄みというのでしょうか。

あの光は、他にはない光なんですよね。

今でも、希少性とか、皆に人気があるから、高いものだと思われているから、というような、世間一般で言われるような興味は、全く持てないのです。

お客様のために選ぶときは、もちろん考えていますよ。

個人的にプライベートで眺める時は、自然の産物としての、ひとつひとつ、個性ある佇まいや光が、うつくしいな、かわいいな、と。

まるで生き物を見るように、愛でてています(笑)

ダイヤモンドを選ぶ時には、良く、カラット、カット、カラー、クラリティ、頭文字を取って4C(よんしー)と言われる基準が言われますよね。

プラチナ台で黄色っぽく見えたりするダイヤの組み合わせは、そうは言ってもやっぱり選び方が良くないと思います。

そこまで極端にミスマッチな選び方でなければ、石全体の雰囲気で、4Cに関係なく、好みのものを決めるのを、私個人はおすすめしたいです。

ひとつひとつ、表情が違い、光り方がちがい、持つ雰囲気が違います。

石(裸石・ルース)は、そういう個性があって、自分にぴったりのを見つけるのが楽しみだと思うんです。

あまり、基準の数値だけに振り回されるのは、自分が長くお付き合いするジュエリーを選ぶのにつまらない、もったいないなと思います。

品質と言う意味では、ある程度基準にはなりますけれど、一定以上だったら、本当に好き、キレイ、これがいい、と感じるご自分の感性を大事にするのが素敵な選び方だと、私個人は思います。

誰もが認める超高級品がどうしてもいい、という方は、私もその究極を求める気持ちはとてもよくわかりますから、本当に好きなら、そういう方は、それを基準に求めればいいと思います。

私は、石、宝石と言うのは、本当に出会いなので、親しい自分だけの友だちかのように、ずっと自分に寄り添ってくれる石・宝石、ジュエリーを選ぶ方が、素敵だなって思っています。

どんなにお金を持っていても、自分のものにできない宝石ってあるんですよ。本当に。

石、宝石って、そういうものなんです。

お金がないと買えないものも多いですが、どんなにお金だけあっても、買えないっていうことがあるんです。

石が人を選ぶといいますが、本当にそうだなって思います。

だからこそ、あなたが本当に、世間の価値に惑わされ過ぎずに、しっくり、ぴったり、ずーっと一緒にいたい、肌に付けていたい、と思う物を選ぶことを、私はお勧めしたいです。

人生が豊かになる、あなただけのダイヤモンドとの出会いを、楽しみに探してみて、大事に身に付けて頂けたらいいなと思います。

単なる装飾品ではなくて、それが本当のジュエリーの楽しみだと思っています。

画像は、私の母から譲られた、質は別にどうっていうことのないダイヤモンドのリングです。

(どっちかというと、母にとっては不要なリングだったのです(笑))

ですが、私にとっては、母が気に入らないというエピソード自体が微笑ましくて特別なダイヤであり、それが私の元にやってきて、生まれ変わろうとしています。

リメイク大歓迎という状況なので、どういうふうにしようか、考える時間もとても楽しく、豊かなひとときです。

何千年、何億年とかけてゆっくりゆっくり、美しく硬く結晶したダイヤモンド、やっぱり心の底から気に入って身に付けてもらう人のところにいたほうが、幸せだと思うのです。(笑)

そうやって選んだ石やジュエリーは、その人が身に付けたときに、ほんとうにしっくりと似合って、その人を最高に輝かせてくれます。

ジュエリーや石・宝石とも、やっぱり、相思相愛がいいと思いませんか?

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